実例
ある学校では、生徒会役員選挙の立候補に「直近の定期試験で赤点がないこと」という条件が設けられていた。ある生徒は立候補を希望したが、一科目の成績要件を満たせず出馬できなかった。その生徒は後に、この条件自体の妥当性を問う文章を書いたが、校内での発表の場は与えられなかった。
一般化
この事例が触れているのは、被選挙資格の設計という問題である。
有権者は誰か、被選挙権者は誰か、という問いは民主制の基礎をなす。国政選挙では、日本国籍を持つ一定年齢以上のすべての人に被選挙権が認められる。成績や職歴による制限は存在しない。
なぜ学校の選挙には、それとは異なるルールが許されるのか。
主張
成績・懲戒歴を被選挙資格の条件にすることは、原則として不当である。
資格制限が正当化されうる唯一の根拠は、「その職務を遂行するために不可欠な最低限の条件」に限られるべきだ。出席率の極端な低さ(物理的に職務を遂行できない)などは議論の余地があるが、学力や過去の懲戒は生徒会活動の能力と直接の関係を持たない。それらの条件は、事実上「学校にとって都合のよい生徒を選ぶ」ための仕掛けとして機能しかねない。
反論の想定
「生徒会役員はその学校の代表であり、模範となるべき存在だ」という反論がある。
これは説得力のある見方だが、「代表」の意味を問い直す必要がある。代表制民主主義において、代表者は有権者の平均ではなく、有権者の委任を受けた者だ。赤点をとった生徒も、その学校の構成員として代表される権利がある。そして、その代表者を選ぶのは有権者である生徒自身であるべきだ。
読者への問い
あなたの学校の生徒会選挙に、立候補資格の制限はあるか。あるとすれば、その条件はどのように決まったか。誰が決めたか。